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川上先生の部屋

2008年11月25日

氷河堆積物中の地すべり-その2

 小谷村の栂池地すべりは、氷河堆積物の地すべりであるので、山腹は厚い礫質土で覆われている。上部のBブロックの中では、地下水が豊富であり、集水井からの水平ボ-リングによる排水も効果をあげている。しかし下部のAブロックでは、礫質土は60mと厚く地下水もこの中の多くの深さに分散して流下している。 
 一例としてボ-リング結果を図-1に示す。この図ではボ-リング掘進中の孔内水位を示しているが、深さ15m、30m、50m、70m付近に地下水があることがわかる。一方、図-2 に斜面の断面図を示すように、変状から認められるすべり面は斜面下部では浅いものとなっている。また融雪期には、浅い地下水が豊富なことを裏付ける湧水が標高1350m 付近に集中している。
 集水井あるいは地表からこの浅層地下水を狙って水平ボ-リングを実施してもなかなか成果が得られない。集水井から大口径の水平ボ-リングを行い、これを狙って地表から垂直ボ-リングを行う。いわば排水壁を築造することを考えたりしているが、これも少し地すべりの動きがあれば切断されるという欠点がある。

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図-1 ボ-リング H12-4の掘進中の孔内水位


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図-2 栂池地すべりⅠ-Ⅰ断面

2008年10月31日

氷河堆積物中の地すべり-その1

 長野県小谷村の栂池地すべりは、珍しい氷河堆積物の中の地すべりである。ここでは、昭和60年頃から地すべりの兆候がみられたが、平成12年の融雪期にスキ-場及び周辺構造物に顕著な変状が認められ、以後調査と対策が進められている。
 地すべりは、栂池自然園より下方の標高1,550~1,250mの山腹で発生している。斜面は、氷河堆積物の名の通り、厚い礫質土で覆われている。この礫質土は均質ではなく、シルト質のもの、粘土質のもの、玉石混じりのもの、岩礫質のもの等各種のものが層を成している。図-1に平面図を示すが、地すべりによる変状が最も顕著に生じているのは、地すべり地中央を横断しているヘアピン状の村道であり、常に路面の補修に追われている。この地すべりブロックは、斜面上部のBブロックと下部のAブロックに区分して考えている。 移動量の観測結果を図-2に示すように、移動量は年 4~15cmに達している。斜面上部のAブロックでは、設置した集水井での排水量も多く移動量も低減しているが、斜面下部のBブロックでは、集水井での排水量は少なく、移動量の減少につながっていない。Bブロックでは、集水井の変状は、深さ8~10mに集中していることから、浅層地下水によるすべりが発生していることは間違いない。地下水は、厚さ60m以上の礫質土のあらゆる深さに分散して存在することが認められる。この中で、深さ10mの浅層地下水を、効果的に排水する対策に苦慮している。(続)。

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図-1 栂池地すべり平面図


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図-2 地すべりの累積移動量

2008年09月30日

半無限長斜面の安定解析-その2 

 一般的なケースとして、半無限長斜面において円弧地すべり面を仮定した場合の、分割細片にかかる力を考える。図-1に説明図を示す。

a)飽和重量法
 分割細片の重量は
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である。すべり面中央の水頭は
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であるので、細片底面に作用する間隙水圧は、
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となる。
 また、分割細片の左側面 ADに働く水圧は、
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である。分割細片の右側面 BCに働く水圧は、
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である。ただし、
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である。
 したがって、
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となる。
 この場合の力のベクトルを (c)図に示す。

 b)有効重量法    
土の飽和重量
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から水の単位体積重量
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を差し引いた有効重量を
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と表記すれば、分割細片重量は
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である。浸透力は細片の面積hbに動水勾配 sinβと水の単位体積重量
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を乗じて得られる。故に、浸透力
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が流線の方向に作用する。この場合の力のベクトルを (d)図に示す。ベクトルの径路が (c)図と異なるのみで、ベクトルの到達する点に違いはない。
 飽和重量法を用いた場合、分割細片側面に作用する水圧が左右で異なるので、これを計算に入れないと飽和重量法と有効重量法の結果は一致しない。通常の計算では、細片側面の水圧を無視する事が多いが、これは近似計算として実用上その影響が小さい場合にのみ許されることで注意が必要である。飽和重量法により解析を行い、細片に作用する側面水圧を考慮すべき事を明記しているのは、建設省河川砂防技術基準である。有効重量法は、貯水池斜面のように、基準水面を設定したい時に便利である。


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図-1 円弧すべり面時の安定解析


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