川上先生の部屋 ~地すべりのお話~

第3回 地すべり地滑落崖直下に地下水あり-その3

地すべり、地下水、滑落崖、断層の関係を示すもうひとつの事例を示したい。
長野県信州新町小学校の校舎改築工事において、山腹の片切り片盛り土工事を開始したところ、切り土斜面に亀裂②(図-1)が発生した。一見したところ、厚い崩積土の斜面であり、切り土の斜面勾配が急すぎたための変状かと思われた。ところが同行した地質の専門家が、この付近には地質図上断層が引かれているところだと言い出した。それでは具体的にこの学校の敷地のどこに断層があるのですかと問うと、そんな具体的なことは分からないとのこと。川を挟む対岸とこちら側とは地質が違っているので、川沿いに断層が描かれているとの説明である。
ボーリング調査の結果、図-2断面図に示すように、西上がりの逆断層が確認された。そして集水井と斜面下部から水抜きボーリング工を実施したところ、図-1の平面図に示すように、40ℓ/m及び15ℓ/mの出水をみて、斜面の動きは鎮静化した。結果、出水点の方向に断層が走っていると判断できる。
その後融雪期に、さらに亀裂③が発生した。これは浅層地下水の影響と判断し、暗渠排水工を実施したところ安定化した。断層周辺では、地下水の動きが複雑であることを教示している。

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