川上先生の部屋 ~地すべりのお話~

第10回 ある地山の間隙水圧 

 地盤の中の地下水を調査するといって、ボ-リング孔を掘削し、そこに孔壁保護のため多孔管を挿入して孔内水位の変動を計測することが多い。しかしこれでは地下水に関する十分な情報は得られない。ボ-リング孔の先端部を裸孔として残し、上部を無孔管でシ-ルした深度別水位計または間隙水圧計で深さを変えて測定する必要がある。1例として、長野県白馬村の浅間山で、深さ110mのボ-リングを行いここに7個の間隙水圧計を埋設して計測した例を示したい。
 最も浅い深さ11.8m の間隙水圧計は、地表に近い礫混じりシルト層内の浅層地下水の水頭を示している。この地層内には浅層地下水が流下していることを示している。
 第2の間隙水圧計は、わずかに正の間隙水圧を示し、火山角礫岩の中にはほとんど水は無いことを暗示している。
 第3の34.2m の間隙水圧計は、負の値を示している。通常の間隙水圧計は、感圧部にポ-ラススト-ンを使用しているので負圧は計測できない。この現場では、ポ-ラススト-ンに換えてセラミック板を使用して負圧の計測を可能にしている。地下水は何層にもわかれて流下していると考えると、このように深いところに不飽和帯があっても当然であろう。
 第4の49.9mの間隙水圧計は、第2滞水層の水頭を示している。深さ50~70mにこの滞水層の水を支える不透水層があるとみられるが、詳細は不明である。
 74~ 106m のみっつの間隙水圧計は、同じ第3滞水層の水頭を示している。そして地下水の水面は傾斜して流動しているとみられる。 40m余の厚い滞水層である。
 以上のように、深さ方向の間隙水圧の分布から地下水の状況を知ることができる。さらに近くの他のボ-リング孔の計測結果も合わせて、地下水の流れを考えることになる。

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図-1 浅間山で計測した深度別間隙水圧

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