川上先生の部屋 ~地すべりのお話~

第12回 全長多孔管で保護したボ-リング孔の水位は不可

 一般的な地下水調査法として、垂直なボ-リング孔の全長に多孔管を挿入して孔壁崩壊を防止し、その孔内水位を計測することが普及している。しかし、これでは地盤内の地下水の状況は把握できない。何故このように間違った水位計測法が普及しているのか不思議であるが、降雨に対応してもっともらしい水位変動が記録されるからであろう。
 簡単な例で説明しよう。図-1に示すように、斜面内の2枚の不透水層で区分されて、A、B2枚の地下水帯が流下していると考える。ここに浅深3本のボ-リングを実施したとしよう。①のボ-リング孔は第1不透水層を貫いていないので、A層の地下水の水頭を指示する。②のボ-リング孔は第1不透水層を貫いているが、第2不透水層を貫いていないので、B層の地下水の水頭を示そうとする。しかしA層からの地下水の流入がありその分水頭が高くなるであろう。どの程度高くなるかはA層からの流入量次第である。
 ③のボ-リング孔は2枚の不透水層を貫いており、基本的にはC層の状況を主として反映する。いまC層に水は無く、しかし透水性の高い地層であるとすれば、A層及びB層から管内に流入する水はC層へ流出することになり、ボ-リング孔の孔底にはわずかな水頭が示されよう。                図-1では、3本のボ-リング孔の水位を用いて、地下水の状況を説明したが、このうち1本だけの結果から、地下水の状況を知ることは困難なことである。
 このように、全長多孔管のボ-リング孔の水位は、帯水層からの水の流入・流出の結果としての水位を示すことになり、帯水層の位置と透水性、ボ-リング孔の深さに影響される。特に、ボ-リング孔の深さに大きく影響されるものであり、地盤内の水頭を評価する上で大切な要因である。1本のボ-リング孔の水位を計測して地下水の調査は終了と考える風習は止めにしたいものである。

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図-1 全長多孔管ボ-リング孔の水位

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