川上先生の部屋 ~地すべりのお話~

第13回 全長多孔管内で計測される水位の意味

 地下水の水頭は、深度別に測定しなければ明確な意味を持たないが、現状では全長多孔管での水位計測が一般的であることを考えると、全長多孔管内の水位が何を意味するかを理解しておくことも大切なことである。
 阿南町地すべり地での計測例を図-1に示す。B-8のボ-リング孔では、掘削深度の異なる4本の孔を掘って浅深4ケ所の深度で水頭を計測している。先端2mのみを裸孔とし、上部は無孔管でシ-ルしている。浅い孔の B-8-1、B-8-2、B-8-3の水頭はそれぞけ孔底から0~2mであり、間隙水圧が0の状態に近い。また深い孔のB-8-4では、降雨の影響が少なく孔底から約8m上のほぼ一定値を示している。これに比し、すぐ近くに全長多孔管として設置したB-3の水位は、降雨にほぼ対応したわずかな変動を示しつつ、水位はB-8-4と同様な値を示している。基本的には全長多孔管の孔底近くの水頭を示しているとみられ、これに浅層部の地下水の流入量の変化が水位変動となって示されているといえる。
 さらに、図-2では、深度別水頭を計測したB-9孔と全長多孔管B-4の計測結果とを対比して示している。全長多孔管B-4の水頭は、深度がほぼ同様なB-9-1及びB-9-2にまたがる変動を示し、浅い地層の水頭を示していると見ることができる。
 いくつかの地すべり地での、深度別水頭と全長多孔管による水頭の対比結果からは、
  1)全長多孔管による水頭は、基本的にその孔底近くの水頭を示していることが多く、
   常に孔底深度に注意する必要がある。
  2)浅層の地下水は、一般に降雨に対応して変動している。  
  3)深層の地下水は、一般に降雨とは直接対応しないことが多い。
  4)全長多孔管による水頭は、降雨にほぼ対応して変動することが多い。これは、降雨
   による浅層地下水が流入してくるためであり、深層地下水の挙動と見誤ってはなら
   ない。
 全長多孔管による水頭は、その孔の深度に留意して見ることが大切であり、孔の深さが異なれば計測結果も異なるものとなる。

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