川上先生の部屋 ~地すべりのお話~

第14回 簡易揚水試験の有用性

 地すべり地では、地下水調査の一環として、ボ-リング孔を利用して簡易揚水試験が実施されている。これを有効に活用すれば、きわめて有用な地下水に関する情報が得られる。 この簡易揚水試験は、1972年から新潟県で実施されているが、その後各官庁の基準にも採用され、新潟県及び長野県で主として実施されている。また、地盤工学会が制定している現場透水試験の定常法にも対応する方法である。簡易揚水試験では、地盤の透水係数を求めることを目的としているが、その試験のなかで測定される地下水の水頭・揚水量に注目すべきである。
 簡易揚水試験では、図-1に装置の概要を示すように、ケ-シングパイプを用いてボ-リング孔上部の遮水を行い、下部に直径D、長さL の裸孔の試験区間を設けて、孔内水を一定水位を保つよう40分間汲み上げる。この水位を保つための揚水量Qo を求める。汲み上げを中止した後、水位の回復を測定する。揚水量と時間~水位回復曲線より、試験区間の透水係数を算定し、水位回復後の水頭を測定する。簡易揚水試験では、試験区間を通常 2~3mとして複数の地層の試験を実施しているので、深さ方向の水頭分布を知ることができる。したがって、どの深さに水頭の高い地下水、豊富な地下水があるかを知ることができる。図-2に測定事例を示す。この例では、深さ 4~6mに水頭が高く、流動性も高い浅層地下水がみられる。また12m以深には、透水性は低いが水頭の高い地下水が存在することが判る。
 同様な情報として、ボ-リング作業の途中経過として、孔の上部はケ-シングパイプを用いて保護し、下部は裸孔の状態で水頭を計測している。ボ-リング作業の進展に伴いより深い部分の水頭を知ることができる。これも類似な情報として活用したい。

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図-1 簡易揚水試験の概要

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図-2 試験結果の例

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