川上先生の部屋 ~地すべりのお話~

第15回 ボーリング作業中の水位-その2

 地盤中の地下水の水頭は、一定ではなく深さによって変化している。この水頭を知るために「ボ-リング作業中の水位」に注意すべきことを以前に説明した。しかしその際の説明図がわかりににくかったので再度説明したい。
 ボ-リング孔掘削時には、孔壁保護のためケ-シングを挿入してこの深度以下を掘削している。ボ-リング作業中の日報では、一日の作業終了時のケ-シング深度・その下の裸孔の深度を記録している。さらに、翌朝作業を開始する時の孔内水位も記録する。このケ-シング深度・裸孔の深度・翌朝の孔内水位を一組のデ-タ-として整理すれば、裸孔の深度に対応する地下水水頭を知ることができる。
 図-1に、調査例として長野県が栂池地すべり地で実施した結果を示す。図中には黒線でボ-リングのケ-シングパイプを示し、パイプより下の裸孔部分を白抜きで示している。また孔内水位は孔底から立ち上がる線の長さで示している。ボ-リング孔が浅い間は孔内水位も高いが、孔底が深くなると水位も低くなっている。図示された結果では、深度22mから33mの地層で一定水位の水が存在する。深度43mから46mの地層には、水はないが48mから60mの地層に深さ40mレベルの水がある。
 地盤の中の水は深さにより変動するのが一般的であり、深さに拘らず一定の水位を示すことの方が珍しい。ボ-リング孔ではケ-シングを挿入して浅層の水が流入しないようにして作業している。掘削終了後この孔に、全長多孔管を挿入して水位を計ったとしても、流入する浅層の水と孔底の水との合算の結果であり、どの深度の水頭かわからない。ボ-リング孔掘削時の日報から、掘削深度と翌朝の水位を整理して深度別水頭として活用することは大切である。ボ-リング作業を急がせることは、大事な情報を捨てることにもなり得策ではない。

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図-1 ボ-リング掘削中の水位

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