川上先生の部屋 ~地すべりのお話~

第17回 水質から地下水の根源を知る その2

 温泉地で発生する地すべりとして温泉地すべりがあることは知られているが、温度は低いが水質からみて温泉と定義できる地下水が湧出する地すべり地がある。長野市郊外の裾花川沿いの七久保地すべりでは、水質の異なる2種類の水が湧出している。この地すべり地の同じ地点でボ-リング孔の深さを変え、ストレ-ナ-の深度を変えて水頭を観測している。この深さの異なる2本のボ-リング孔の水を採水して調べた結果は、表-1の通りである。そのヘキサダイヤグラムを図-1に示す。
 15-2は、ストレ-ナ-の深度21~24mの水で3Na.jpgに富む硫酸ナトリウム型の水である。その水頭は地表面下9mにある。また15-3は、ストレ-ナ-深度29~33mの水で、4Na.jpgに富む食塩型の水である。そしてその水頭は地表面下14mである。この2種類の水は、いずれもそのイオン濃度が高い。通常の試験結果では、図-1のヘキサダイアグラムの横軸のスケ-ルは、5meq/L程度であるが、ここではmeq/Lとしており、通常の地すべり地の地下水のイオン濃度の20倍以上である。表-1の数値でも、この2種類の水はいずれも1,000meq/L以上のイオンが含まれており、定義上温泉水といえる。
 同じ地点において、深さを変えて2種類の地下水が存在することをどう説明するかという問題が残る。深いところにある食塩型の水は、単純に地下から湧出していると考える。一方、硫酸ナトリウム型の水は、近くに存在する安山岩の貫入岩体の中を上昇し、浅層地下水の供給源となって流下していると考える。両者の水頭の違いにも合致している。地すべり地内で調べた水は、大部分が硫酸ナトリウム型の水であり、地表水で希釈されたものとみることができる。

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表-1 地下水の化学成分分析

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図-1 水質分析結果のヘキサダイヤグラム

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