川上先生の部屋 ~地すべりのお話~

第22回 半無限長斜面の安定解析 ― その1

 問題を具体的に説明して基本の理解に役立てたい。図-1(a)は、半無限長斜面で地表面まで一杯に水が流れている場合を考える。地表に平行な流線とこれに直交する等ポテンシャル線より構成される流線網が想定できる。最も単純なケースとして、すべり面も地表面に平行であると仮定した場合の、この斜面の分割細片に作用する物体力を考える。
 飽和重量法では、(b)図に示すように地下水面以下の土塊面積に飽和単位体積重量を乗じて土塊重量を求める。地表面以下hの深さでの水頭は
   hcos%EF%BC%92%CE%B1.jpg
であるので、底面に作用する水圧は
   wcos%EF%BC%92%CE%B1.jpg
である。すべり面上の強度定数をc、φとすれば、
 dokai.jpg
 この他、この細片には両側面に水圧が作用しているが、これらは等大・方向反対であるので計算から除外できる。
 次に(d)図に説明する有効重量法の場合には、細片の面積に有効重量を乗じた重量が垂直下向きに働く。加えて、細片の面積に水の導水勾配と単位体積重量を乗じた浸透力Sが流線方向に働く。この場合の導水勾配はsinαである。
  dokai2.jpg
 プールの中に立つ人間の体にかかる力として実感できるのは有効重量法であろう。プールに水の流れがあると考えると、人の体には流れに押し流されるような力が働く。また人間は浮力により体が軽くなったのを実感している。プールに自立するためには、浮力をうけた軽い体重でプール底面の足の力で流れに抵抗している。
 全重量法としてこれを理解するためには、空気中で感じている体重に水中で水圧が周囲から作用したことにより、その総合的結果として体が軽くなった感じを実感し、水の流れで押されるのだと考えることである。

20080828-1.jpg

a)流線網         (b)飽和重量法         (c)飽和重量物体法

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(d)有効重量法           (e)有効重量物体力

図-1 半無限斜面での物体力

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