川上先生の部屋 ~地すべりのお話~

第23回 半無限長斜面の安定解析-その2 

 一般的なケースとして、半無限長斜面において円弧地すべり面を仮定した場合の、分割細片にかかる力を考える。図-1に説明図を示す。

a)飽和重量法
 分割細片の重量は
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である。すべり面中央の水頭は
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であるので、細片底面に作用する間隙水圧は、
 20081012_4.jpg
となる。
 また、分割細片の左側面 ADに働く水圧は、
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である。分割細片の右側面 BCに働く水圧は、
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である。ただし、
 20081012_7.jpg
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である。
 したがって、
 20081012_9.jpg
となる。
 この場合の力のベクトルを (c)図に示す。

 b)有効重量法    
土の飽和重量
 20081012_13.jpg
から水の単位体積重量
 20081012_11.jpg
を差し引いた有効重量を
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と表記すれば、分割細片重量は
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である。浸透力は細片の面積hbに動水勾配 sinβと水の単位体積重量
 20081012_11.jpg
を乗じて得られる。故に、浸透力
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が流線の方向に作用する。この場合の力のベクトルを (d)図に示す。ベクトルの径路が (c)図と異なるのみで、ベクトルの到達する点に違いはない。
 飽和重量法を用いた場合、分割細片側面に作用する水圧が左右で異なるので、これを計算に入れないと飽和重量法と有効重量法の結果は一致しない。通常の計算では、細片側面の水圧を無視する事が多いが、これは近似計算として実用上その影響が小さい場合にのみ許されることで注意が必要である。飽和重量法により解析を行い、細片に作用する側面水圧を考慮すべき事を明記しているのは、建設省河川砂防技術基準である。有効重量法は、貯水池斜面のように、基準水面を設定したい時に便利である。

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図-1 円弧すべり面時の安定解析

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