川上先生の部屋 ~地すべりのお話~

第24回 氷河堆積物中の地すべり-その1

 長野県小谷村の栂池地すべりは、珍しい氷河堆積物の中の地すべりである。ここでは、昭和60年頃から地すべりの兆候がみられたが、平成12年の融雪期にスキ-場及び周辺構造物に顕著な変状が認められ、以後調査と対策が進められている。
 地すべりは、栂池自然園より下方の標高1,550~1,250mの山腹で発生している。斜面は、氷河堆積物の名の通り、厚い礫質土で覆われている。この礫質土は均質ではなく、シルト質のもの、粘土質のもの、玉石混じりのもの、岩礫質のもの等各種のものが層を成している。図-1に平面図を示すが、地すべりによる変状が最も顕著に生じているのは、地すべり地中央を横断しているヘアピン状の村道であり、常に路面の補修に追われている。この地すべりブロックは、斜面上部のBブロックと下部のAブロックに区分して考えている。 移動量の観測結果を図-2に示すように、移動量は年 4~15cmに達している。斜面上部のAブロックでは、設置した集水井での排水量も多く移動量も低減しているが、斜面下部のBブロックでは、集水井での排水量は少なく、移動量の減少につながっていない。Bブロックでは、集水井の変状は、深さ8~10mに集中していることから、浅層地下水によるすべりが発生していることは間違いない。地下水は、厚さ60m以上の礫質土のあらゆる深さに分散して存在することが認められる。この中で、深さ10mの浅層地下水を、効果的に排水する対策に苦慮している。(続)。

20081031-1.jpg

図-1 栂池地すべり平面図

20081031-2.jpg

図-2 地すべりの累積移動量

Page Top