長野岩石図鑑

角閃石安山岩(hornblende andesite) 南安曇郡安曇村上高地(焼岳)

概要

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岩種 火成岩
地質年代 第四紀 (焼岳安山岩)
採取地 南安曇郡安曇村上高地(焼岳)

一般的な特徴

《角閃石安山岩(hornblende andesite)》
主な鉄苦土鉱物斑晶として角閃石を持つ安山岩。
斑晶は累帯構造の著しい斜長石・角閃石・磁鉄鉱などの他、輝石・黒雲母・石英を伴うこともある。
角閃石はガラス質岩をのぞき一般に褐~赤褐色の酸化角閃石となり、オパサイト縁(*1)をもち、粒状の輝石・磁鉄鉱の集合体に置換されることもある。
石基は毛せん状・ピロタキシチック(*2)・ガラス基流晶質・ガラス質などの組織を示し、完晶質のときは斜長石・輝石・角閃石・黒雲母・アルカリ長石・珪酸鉱物などからなる。
一般に輝石安山岩よりも珪酸・アルカリに富む。
日本では日本海側の火山に産し、輝石・カンラン石の斑晶を伴なうことがある。
*1:オパサイト
火成岩中に産する黒色不透明で、同定不可な祖粒状または薄片状のものの一般的名称。H.Vogelsang(1872)命名。
火山岩の石基中に普通に認められ、その多くは磁鉄鉱またはチタン磁鉄鉱の微粒子とされている。
火山岩中の角閃石・黒雲母などの周縁にしばしば発達する鉄鉱・輝石粒などの暗黒集合体をオパサイト縁という。
*2:ピロタキシチック
主に短冊状マイクロライトからなる完晶質石基の組織。ガラスを欠く。一般にマイクロライトは斜長石で流理に平行に配列。
マイクロライトが平行に配列していなければ、毛せん状組織という。

固有の特徴

《焼岳火山群》
焼岳火山群は次の五つの火山より構成されている。噴出の順より1)割谷火山2)白谷火山3)焼岳火山4)下堀爆裂火口5)中尾峠爆裂火口何れも溶岩流出は小規模で、岩滓流や泥流流出を主としている。乗鞍火山に比べてその活動は比較的近時であって、基盤構造も同一の構造である。
焼岳火山は、最下層に岩滓流を持ち、その上に四層の溶岩が乗っている。この岩滓流は、水と混じて流動したもので、泥流ともいうべきものである。
西方の岩坪谷の大棚においては、古生層上に淘汰の良い岩滓層が見られ、厚さ400mに達している。梓川の大正池・中の湯付近に見られるものは厚さ100mに達する。
これを覆う溶岩のうち、第一、第二を下部溶岩、第三、第四を上部溶岩とされているが、下部溶岩は、含紫蘇輝石・角閃石安山岩で、中粒斑晶、緻密な暗灰色の石基中に白色粗粒の長石斑晶を多量に持ち、角閃石の長柱状斑晶も散在している。風化すると淡灰色または淡紅色を呈する。
この下部溶岩は焼岳の主体を構成したもので、溶岩は割谷山に接し、一部は岩坪山と割谷山との中間の谷を埋め、西方は白谷山と岩坪山との谷間を埋めて大棚の溶岩台地をつくり、南方は白谷山の山側を覆って細池の凹地に達し、東は梓川の谷を遮って、霞沢岳の山麓に接している。
第三溶岩は西方の岩坪山の山頂に達し、第四次のものは現在の火口壁をつくっている。この上部溶岩は含黒雲母・紫蘇輝石安山岩であって、下部溶岩とは、黒雲母を多量に含み、捕獲岩を多く持ち、多孔質な部分と緻密な部分とが縞状になっているのを特徴としている点で相違している。

採取地写真

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